2013年12月10日

Adobe-Japan1と汎用電子コレクションの
2つのUnicode IVDに対応した「超漢字検索 IVS強化版2」を
パーソナルメディアが新発売

ソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:松為彰、本社:東京、電話:03-5759-8303、資本金 1,000万円)は、約18万字(*1)の漢字や文字から目的の文字をすばやく検索できる「超漢字検索」に、Unicode IVS/IVD(*2)でコード化された印刷業界標準の「Adobe-Japan1コレクション」収録文字への対応機能などを追加し、「超漢字検索 IVS強化版2」として2014年2月3日より法人のお客様向けにご提供を開始します。また、12月11日(水)~13日(金)に東京ミッドタウンで開催される「TRONSHOW2014」の当社ブース(ブース番号:B-2)にて、本製品のデモンストレーションを行います。

従来、InDesignなどのDTPソフトで異体字を入力する際には、DTPソフトの持つグリフ置換機能などが使われていました。しかし、この方法では異体字の選択や管理をアプリケーション側で行っているため、同じ異体字を再現するには、特定のDTPソフトやフォントに依存した専用の環境が必要といった制約がありました。

一方、Unicodeにおいても漢字の異体字をコード化して扱うためのIVSという機能が導入され、Windows 8やMicrosoft Office 2013をはじめとして、最初からこの機能に対応済みのOSやアプリケーションが増えてきました(*3)。Unicode IVSは標準化されたオープンな規格であり、特定のDTPソフトやフォントに依存することなく、異体字を入力できます。このため、異体字を含めてコード化された文字データを各種のアプリケーション間で共有したり、DTPソフトとは独立したツールなどを使って異体字を入力できるというメリットがあります。もちろん、IVSによる異体字は画像ではなく文字として扱えますし、外字ではないので文字化けする心配もありません。

このようなUnicode IVSのメリットを活かしつつ、IVSでコード化された異体字を簡単な操作で検索、入力できる便利なツールが、このたび発売する「超漢字検索IVS強化版2」です。たとえば、超漢字検索で検索した異体字をInDesignで作成中のドキュメントに貼り込み、InDesign上で文字データとして利用することができます。このとき貼りこまれた異体字は、InDesignで標準的に利用されている「Adobe-Japan1コレクション」に対応したOpenTypeフォントで表示できます。また、InDesignなどで作成したPDF文書にUnicode IVSで表現された異体字が含まれている場合、コピー&ペーストの操作によってその漢字を「超漢字検索IVS強化版2」のウィンドウに貼り付ければ、その異体字の文字コードや親字、他の異体字などの字形を確認することができます。

「超漢字検索IVS強化版2」では、新たに対応したAdobe-Japan1コレクションの異体字と、昨年発表した「超漢字検索IVS強化版」で対応済みの汎用電子コレクション(*4)の異体字を、それぞれ色分けして表示でき、この2つのコレクションで利用可能な異体字をひと目で閲覧できます。また、利用目的やフォント環境に合わせて優先的に利用するコレクションを切り替えられるほか、Adobe-Japan1コレクションの異体字と汎用電子コレクションの異体字を相互に変換するツールとしても活用できます。

Adobe-Japan1(Adobe-Japan1-6)には23,058字の文字が収録されておりますが、この中には英数字や記号などの非漢字も含まれており、Unicode IVSとしてのコードを持った漢字や異体字の総数は14,679字(*5)です。「超漢字検索IVS強化版2」では、このうちの14,400字以上に対応済みですので、Adobe-Japan1の漢字や異体字の98%以上を検索して入力することができます。一方、汎用電子コレクションのうち「IPAmj明朝フォント」で表示可能な漢字や異体字については、Unicode IVSのコードを持った約4,000字のほか、UnicodeのCJK統合漢字やExtension A、Extension Bの漢字などを含めた49,000字以上に対応しています。これらの文字数は、今後のデータウェアの整備により増やしていく予定です。

パーソナルメディアでは、このほか、お客様が既に利用されている外字とUnicode IVSよる異体字のどちらも検索可能なカスタマイズ版の超漢字検索や、お客様の外字を使った既存データからUnicode IVSを使った互換性の高いデータへの外字変換システムなど、お客様のご要望に応じた多様な漢字ソリューションを提供して参ります。

マイクロソフトディベロップメント株式会社 代表取締役社長 兼
日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 最高技術責任者 加治佐俊一様からのコメント

マイクロソフトでは、相互運用性が担保された環境の中で異体字を使用可能にするため、Windows 8、最新のOfficeからUnicode IVS/IVDへの対応を実現しています。 一方で様々な異体字の中から文字を検索し入力することは依然として多くの課題を抱えています。パーソナルメディア株式会社様は、これまで優れた漢字検索ソリューションを提供されてきており、この度発表されたソリューションは、ユーザーに異体字検索と入力における更なる手段を提供することで、Unicode IVS/IVDの普及促進に貢献していくものと期待しております。

(*1)
「超漢字検索」で扱える文字は、大漢和辞典に収録されている約5万字のほか、住基ネット用の文字を含む多数の人名用異体字、変体仮名、中国簡体字や中国伝統字、ハングル、Unicodeに含まれる世界各国の文字や記号などを含み、その総数は186,487字になります。ただし、この文字数は、複数の文字コード規格に含まれる同一字形の文字を重複して数えています。同一字形の文字の重複を除いた場合の総文字数は、約10万字です(同一字形の解釈によりこの数は変動します)。
超漢字検索で検索できる文字の種類 http://www.chokanji.com/ckk/charlist.html
(*2)
Unicode IVS(Ideographic Variation Sequence: 異体字シーケンス)とは、Unicodeにおいて、漢字の異体字をコード化して扱うための規格です。CJK統合漢字の字形の差異を使い分けるための字形の一覧が、IVD(Ideographic Variation Database: 漢字字形データベース)として公開されています。現在、IVDには、“Adobe-Japan1”と“Hanyo-Denshi”の2つのコレクションが登録されています。
(*3)
Windows 7、Microsoft Office 2007、Office 2010などにおいては、IVS対応のための追加プログラムである"Unicode IVS Add-in for Microsoft Office"をダウンロードしてインストールすることにより、IVSの機能が利用可能となります。
IVS Add-inのダウンロード http://ivsaddin.codeplex.com/
(*4)
Unicode IVS/IVDの規格で利用可能な字形データベース(コレクション)のうち、官公庁や自治体など電子政府での利用を主目的として登録されたのが「汎用電子コレクション」(“Hanyo-Denshi”)です。また、「汎用電子コレクション」およびそのIVS/IVDに対応した多漢字フォントとして、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が無償で公開している「IPAmj明朝フォント」があります。「戸籍統一文字」の55,270字や「住民基本台帳ネットワークシステム統一文字」の19,563字など、約6万字の漢字を含んでおり、従来は外字を利用していた人名、地名などの異体字に対して共通のコードを与えることができます。
IPAmj明朝フォント http://ossipedia.ipa.go.jp/ipamjfont/download.html
(*5)
Unicode IVSの文字コードで見た場合の文字数です。同一字形が複数のUnicode IVSコードを持つ場合がありますので、字形で見た場合の文字数は若干減少します。

「超漢字検索 IVS強化版2」の活用例

DTPの現場における異体字関連のさまざまな問題を解決します。

  • InDesignのデータ中の異体字を、異体字セレクタを使ったUnicodeの漢字に置き換える。
  • 文書中に含まれている異体字の文字コードを確認する。
  • 文書中で「IPAmj明朝フォント」を使って表現された異体字を、Adobe-Japan1コレクションの異体字に変換し、Adobe-Japan1に対応したフォントで表示、印刷する。

人名、地名などの異体字の入力作業を効率化します。

  • Unicode IVSに対応した自治体などのシステムにおいて、難しい漢字や異体字を簡単な操作で入力する。
  • PDF文書などに含まれている異体字がAdobe-Japan1コレクションのIVSを使っていた場合に、同じ字形を持つ汎用電子コレクションの異体字に置き換えて入力する。

「超漢字検索 IVS強化版2」の特長

  • メモ帳、Word、Excel、InDesignなどのWindowsアプリケーションで扱う文書の中に、超漢字検索で検索した多漢字や異体字を文字として貼り込めます。5万字以上の漢字に対応済であるほか、今後のデータウェアの整備により、対応可能な漢字を増やしていきます。
  • Windowsの文書中に貼り込まれる多漢字や異体字は、Unicode IVSの機能を用いてコード化されます。外字ではないので、環境が変わっても文字化けせず共通に利用でき、多漢字や異体字を含むデータの互換性や流通性の向上が期待できます。
  • Uniocde IVSに対応したOpenTypeフォントがインストールされたWindows 8、Windows 8.1などの環境で利用可能です。
  • 漢字の読みや画数はもちろん、漢字の一部や異体字、それらの組み合わせなどを用いた、直感的で分かりやすい操作による漢字の検索が可能です。文字検索機能の使いやすさについては、好評発売中の「超漢字検索」や10年以上の販売実績をもつ「超漢字」シリーズの文字検索機能を踏襲したものであり、多くのお客様からご好評をいただいております。
  • 自治体、官公庁、行政機関や、人名用異体字を多く扱うお客様、出版や印刷に携わるお客様などのご利用を想定したカスタマイズ版の開発やご提供が可能です。たとえば、お客様が既にお持ちの外字を検索対象文字として追加することにより、お客様の文字環境に最適な多漢字、異体字の入力ツールをご提供いたします。

図表

図1.
「超漢字検索 IVS強化版2」の漢字検索画面
※ 緑色:Unicode収録文字、桃色:Adobe-Japan1コレクション収録文字、橙色:汎用電子コレクション収録文字
図2.
文字情報画面で異体字のコードを表示(Adobe-Japan1優先)
図3.
文字情報画面で異体字のコードを表示(汎用電子優先)
図4.
異体字セレクタを使ったUnicodeの漢字をInDesignに貼り込み
※ 「間」の異体字「U: 9592+E0101」を検索して入力
図5.
PDFに埋め込まれた異体字の文字コードを文字情報画面で確認
※ Adobe-Japan1コレクションの「菟」の異体字「U: 83DF+E0102」の文字コードや文字情報を表示

超漢字シリーズと超漢字検索

「超漢字」(http://www.chokanji.com/)は、トロンプロジェクトの成果の一つとして開発された、パソコン用のBTRON仕様OSです。18万の漢字や文字をどこでも自由に使える多漢字機能などの特長があります。「超漢字」は1999年に発売された後、「超漢字2」「超漢字3」「超漢字4」とバージョンアップを重ねながら、多くのお客様にご利用いただき、高い評価をいただいてきました。最新版の「超漢字V」はWindows上の仮想マシンで動くTRONとして、従来の多漢字機能だけでなくWindows上のアプリケーションとの連携を強化した機能を追加しています。

この「超漢字」上で永年蓄積した多文字の技術とノウハウを活かした、他OS用の文字検索ソフトウェアが「超漢字検索」です。漢字の読みや画数はもちろん、漢字の一部や異体字、それらの組み合わせなど、漢字を見て直感的に得られる情報を検索キーとして、186,487字の漢字、文字、記号などの中から、目的の文字を簡単に見つけ出すことができます。
「超漢字検索」は、Windows版およびLinux版のほか、2012年にはAndroid版をリリースしており、ご利用環境にあわせてお使いいただけます。

参考情報、リンク集

プレスリリース印刷用PDF


  • TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。
  • 超漢字はパーソナルメディア株式会社の商標です。
  • Windows, Word, Excel は米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。その他の商品名などは、各社の商標または登録商標です。
  • 本資料に記載された製品の仕様、画面イメージなどは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、製品改良などのために変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。
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